「クリーニングで歯石を除去したばかりなのに、また歯石がついている」このような経験はありませんか?
歯石は除去しても、数日でまた歯に付着します。誰もが必ず歯石はできてしまいますが、その中でも歯石ができやすい人がいます。
そこで今回は、歯石ができやすい人の特徴と、歯石対策に効果のある予防歯科について紹介します。
是非とも参考にしてください。
※60代・男性:3ヵ月ごとに定期検診にいらしている方。下の前歯の裏に歯石が溜まりやすい。
「クリーニングで歯石を除去したばかりなのに、また歯石がついている」このような経験はありませんか?
歯石は除去しても、数日でまた歯に付着します。誰もが必ず歯石はできてしまいますが、その中でも歯石ができやすい人がいます。
そこで今回は、歯石ができやすい人の特徴と、歯石対策に効果のある予防歯科について紹介します。
是非とも参考にしてください。
歯石とは、歯の磨き残しによってできた歯垢(プラーク)が、唾液に含まれているカルシウムなどのミネラル成分と結びつくことで付着し、石のように硬くなったものです。歯石は2日ほどで形成されはじめ、2週間ほどでかたまります。
歯石は表面がザラザラしているためプラークが付着しやすく、付着したプラークがかたまることを繰り返して、歯石が溜まっていきます。
歯石には、歯ぐきより上の部分の見える位置についている歯肉縁上歯石と、歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)の見えない部分についている歯肉縁下歯石があります。
歯石はプラークが歯に長時間付着してできるため、プラークがたまりにくい環境を作ることが大切です。
歯石ができやすい人には特徴があり、次の5つに当てはまる人が、歯石ができやすい傾向にあります。
1. 歯磨きが不十分
2. 唾液がアルカリ性に近い
3. 口が渇いている
4. たばこを吸っている
5. 歯並びが悪い
順番に説明します。
毎食後の歯磨きができていない人や歯磨きが不十分な人は、口の中にプラークが溜まってしまい歯石がつきます。
歯ブラシのみで落とせる汚れは6割程度です。そのため、歯ブラシが届きにくい場所である、歯と歯の間や根元、上の奥歯などにプラークが溜まります。
歯間ブラシ、デンタルフロスやタフトブラシを併用している場合、歯ブラシが届かない部分の清掃が可能ですが、歯ブラシのみで歯磨きしている人は、歯石がつくリスクが高まります。
歯石はプラークと唾液のミネラル成分が結びついてできるため、ミネラル成分を多く含んでいる、アルカリ性に近い唾液の人は歯石がつきやすい傾向にあります。その一方でアルカリ性に近い唾液の人は、虫歯になりにくいメリットがあります。虫歯菌によって作り出される酸をアルカリ性で中和し、酸で溶けてしまった歯を修復する力があるためです。
唾液の成分は、歯科クリニックで唾液の検査を受けて判定されるため、自分では確認できません。
唾液の検査では唾液の成分や菌の数を調べ、虫歯や歯周病のリスクを細かく分析します。興味のある方は歯科クリニックで検査を受けましょう。
口が渇いている人は、唾液の分泌量が少ないことが考えられます。
唾液には口の中の汚れを洗い流す役割があるので、唾液が少ないと汚れが口の中に残るため歯石がつきやすくなります。唾液の分泌量はストレス、疲れ、緊張、加齢や薬の副作用などによっても減少します。
また、日頃から水分の摂取量が少ない人や口呼吸が癖になっている人も口が渇きます。
たばこを吸うとタール(ヤニ)が原因で歯石が歯に付着します。
歯に付着したヤニはベタベタと粘着性があり、プラークが付着しやすい状態を作るためです。
ヤニは日常的な歯磨きでは除去できず、蓄積されて細菌の温床になるので、たばこを吸っていない人と比較して歯石が付きやすい口腔内環境であると言えます。
歯並びが悪い人は歯磨きが難しくプラークが残りやすいため、歯並びが良い人に比べて歯石がつきやすい傾向にあります。
歯が重なっている部分は、歯ブラシ以外にも、歯間ブラシやデンタルフロス、タフトブラシなどを併用しても汚れの除去が難しいためです。
歯石はプラークがかたまってできるため、歯石を作らないためにもプラークの除去が必須です。プラークを除去・低減するためには、次の3つの予防歯科への取り組みで効果を得られます。
1. 口腔ケアの改善(セルフケア)
2. 定期的な歯科クリニックでのクリーニング(プロフェッショナルケア)
3. 生活習慣の改善
予防歯科とは、虫歯や歯周病などの口腔疾患を未然に防ぎ、口の中の状態の向上・改善を目的としています。これらの取り組みは、プラークを口の中に残さず、清潔な口の中の環境作りにつながります。
3つの取り組みについて、順番に説明します。
適切な口腔ケアをするとプラークの除去率を改善できます。
プラークが残りやすい部分を意識して丁寧に歯を磨きしましょう。
歯を磨く時は、ながら作業ではなく鏡を見て歯ブラシを当てます。力を入れずやさしく小刻みに、1本ずつ磨きます。歯の根本部分や歯間部分は歯ブラシが当たりにくいので、意識して磨きましょう。
歯ブラシだけでは歯間部分や奥歯、かぶせ物のまわりなど、うまく磨けない部分があります。そのため、歯間ブラシ、デンタルフロスやタフトブラシを使用して、歯ブラシが届かない部分のプラークを除去します。
舌ブラシや洗口剤なども口の中の清潔を保つために役立つので、必要に応じて併用しましょう。
寝ている間は唾液の分泌量が減るため、細菌が繁殖しやすい環境を作ります。そのため、寝る前の歯磨きは念入りにしましょう。
セルフケアでは、取りきれないプラークや歯石を定期的に歯科クリニックのクリーニングで取り除きます。歯石は放置するとプラークが集まり、どんどん蓄積されます。
個人差はありますが、3ヵ月に一度のペースで歯石を除去しましょう。歯石がつきやすい人はもっと早いペースで除去する必要があります。
クリーニングでは専門器具と薬剤を使用して、徹底的に清掃・研磨します。歯の表面をツルツルに仕上げるので、プラークや歯石がつきにくくなります。
歯石は自分では除去できません。
自分で無理に取ろうとすると、歯や歯ぐきを傷つけてしまい、中途半端に残った歯石は、よりプラークが付着します。
また、歯ぐきより下についている見えない部分の歯石は取れません。歯石の除去は必ず歯科クリニックを受診してください。
唾液の分泌量を減らしてしまう生活習慣を見直しましょう。
強いストレスを感じることや睡眠不足などの不規則な生活、喫煙、飲酒、口呼吸、よくかまずに食べるなどの悪習慣です。
自分で意識して改善できることは少しずつ変えていきましょう。
口が渇いていると感じたときは、しっかり水分を補給しましょう。
また、ガムをかむと唾液の分泌量を増やし、ストレスを解消する効果もあります。
ガムは歯科クリニックで取り扱っている、フッ素入りのガムやキシリトール100%のタイプがおすすめです。
予防歯科の取り組みは、歯石が付着しにくくなるだけではなく、次のようなメリットがあります。
●虫歯・歯周病・口臭予防
●虫歯の早期発見・治療ができるので重症化しない
●着色汚れを防いで、美しい歯を保つ
虫歯、歯周病や口臭は、プラークが原因で発生します。
そのため、予防歯科に取り組むことでプラークが口の中に残りにくい状況を作ると、虫歯や歯周病、口臭のリスクが低減できます。
虫歯菌はプラークに含まれている糖分を分解し、酸を作って歯を溶かします。
歯周病はプラークによって歯ぐきが炎症を起こし、歯周ポケットで歯周病菌が活発に活動して、歯を支えている骨を溶かします。
口臭の原因は歯周病の悪化と細菌が食べかすなどを分解する過程で発するガスです。
それぞれプラークから発生しているので、予防歯科に取り組むことで虫歯や歯周病、口臭を未然に防げます。
口臭と虫歯や歯周病の関係3ヵ月に一度のペースでクリーニングへ通うと、虫歯をすぐに発見でき治療できるので重症化のリスクを低減できます。初期症状の虫歯は痛みがないので、定期的に歯科クリニックを受診しなければ、発見できません。早期発見できれば、簡単な治療で終えられます。
虫歯は重症化する前に発見し、適切な処置をすれば、虫歯の痛みからも解放されるでしょう。
飲食すると歯の表面に着色(ステイン)します。特にステインが付きやすいポリフェノールは、多くの飲食物に含まれているため、避けられません。しかし、日常的な適切なセルフケアでステインの定着を防ぎ、定期的なクリーニングで着色を徹底的に除去すると美しさを保てます。
予防歯科って何をするの?その重要性やメリットとは3ヵ月に一度のクリーニング費用が負担になると考える人もいるでしょう。しかし、歯石は繰り返し付着してしまうので、そのまま放置して虫歯や歯周病が進行してしまい、治療が必要になった場合、治療費と治療にかかる時間は、3ヵ月に一度のクリーニング費用を上回ります。
虫歯の治療方法には、歯を部分的に失ったときに補う方法(インレー・クラウンなど)や歯を失ってしまったときに補う方法(ブリッジ・入れ歯・インプラントなど)がありますが、どれも費用と時間を要します。
予防歯科に取り組み、適切なセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアを受け、虫歯や歯周病のリスクを低減させることが、将来的な歯科治療費の削減へとつながります。
予防歯科と将来の歯科治療費の関係磨き残して長時間プラークが口の中にとどまると、プラークは歯石へ変化します。唾液の成分は変えることはできませんが、プラークを除去する取り組みを徹底して行えば、歯石がつきやすい人も歯石ができにくい状況を作ることはできます。
歯石がつきやすいと感じている方は、是非とも一度ご相談ください。
歯石が付着しにくいような口腔内の環境を整えられるよう、予防歯科でアプローチしましょう。