インプラント治療の
ご相談Implant
インプラントは、素材やその特徴も進化を遂げ、毎年のように新商品も発売される中で、患者さまも治療に関しての不安や悩みは、尽きないのではないでしょうか。
このページでは、よくあるインプラントの相談内容について説明しますので、参考にしてください。
インプラント1本の平均治療費用は?
インプラント1本の平均治療費用は、年々上昇しています。これはインプラントメーカーの販売価格自体と技工料が値上がりしていることが原因と思われ、今後も上がり続けることが予想されます。
現在の平均治療費は、35〜40万円/本です。(2024年10月現在)これは、インプラントを埋入して被せ物を装着する費用であり、仮歯の費用が含まれるか否かは歯科医院により異なります。また骨造成、歯肉移植などの費用は含まれません。
治療費用を比較するためには、素材の種類により異なるインプラント体の価格と患者さまに必要な治療項目の全てが含まれた見積書がなくては、難しいこともあると思いますので、しっかりと確認しましょう。
1本50万円のインプラントは、高い?
50万円の内訳によります。インプラント治療に係る費用の全てが含まれての価格であれば、安い場合もあります。
例えば、インプラント体1本10万円の表記があっても骨造成代、仮歯代、被せ物代、薬代、調整代などが別途必要であれば、50万円を超えると思われます。特に骨の造成や歯肉の移植などは費用が高いので、詳細に確認することをおすすめします。
他の歯科医院で見積りがこんなに高かったとセカンドオピニオンで受診されることがありますが、内訳を確認するとそうでもない場合もあります。
1本10万円のインプラントは、安い?
1本10万円のインプラントってどうなの?と患者さまから良く質問を受けます。
この価格には、被せ物や仮歯の費用は含まれません。全部で10万円と思われがちですが、仮に被せ物が10万円で仮歯が5万円の場合は、合計25万円になります。
では、1本10万円のインプラント体の良し悪しについてですが、きちんと10年以上お口の中で機能しているインプラントも多数見かけます。またその逆も然りです。インプラント体の値段よりも、日々の歯磨きや定期的なクリーニング、ナイトガード装着の習慣なども予後を左右することに繋がると考えられます。
そのため、インプラント体の値段だけではなく、虫歯や歯周病が多いのであれば、ある程度値段のするインプラント体を選択するなど自身のお口の中の状態も踏まえて検討することも大切と思われます。
インプラント治療を受けられる?
(高齢者、若者、喫煙者、高血圧、糖尿病、金属アレルギー)
高齢者
歳を重ねるほど全身疾患を有する方が増えるといわれますが、全身状態や認知機能には個人差があります。そのため高齢者だからインプラント治療は、避けた方が良いかというとそうでもありません。治療を受けられる方もいらっしゃいます。
ただし治療においては、患者さまの生活背景も含めて判断をする必要があります。また患者さまだけではなく、今後の介護含め、インプラントの必要性をご家族とも話した方が良いと思います。
若者
成長発育過程でのインプラント治療は、顎の骨の成長を阻害することや治療後に被せ物と天然の歯との間に隙間や段差ができることが考えられます。
そのため、成長発育が終了してからの治療がベストになります。ただし成長発育には個人差があり20歳を過ぎても成長する方もいますので、治療前に担当歯科医師とよく相談するようにしましょう。
喫煙者
タバコを吸うと末梢血管への血流がストップするため、慢性の炎症が歯ぐきで起こります。インプラントの治療では、大なり小なり歯肉を切開しますが、喫煙が原因となり歯肉の治癒不全が起こります。すると歯肉は開いてしまうだけでなく、インプラントと骨は結合しません。タバコを吸う方は、インプラントの成功率が低くなります。
また、もしインプラント手術が成功したとしても、タバコを吸うためにインプラントの周りが歯周病になりやすく、予後が良くないこともわかっています。
多くの歯科医師は、タバコを吸う患者さまには、禁煙を指導してから、インプラント治療を開始します。
高血圧
血圧が高い方は、降圧剤を服用して血圧をコントロールしていることが多いですが、術中に急に血圧が上昇して止血困難になることや術後に止血ができなくなることがあります。そのため、内科医と連携し、インプラント手術に耐えられる状態か否かを確認する必要があります。
また多くの患者さまは、問題なくインプラント手術を受けられますが、高血圧+合併症を患っている場合に手術の痛みや音、振動でストレスを多く感じることにより、患者さまの持病を悪化させることがあります。そのため、高血圧の方は、日頃からの食事や生活習慣に気をつけて健康な状態でインプラント手術を受けることをおすすめします。
糖尿病
インプラント手術に対する糖尿病のコントロールは、通常の待機手術の基準である空腹時血糖140mg/dl以下、ケトン体(ー)、HbA1c : 6.9%(NGSP値)未満となります。
インプラント手術の際は、糖尿病性ケトアシドーシス、低血糖、高血糖に注意します。高血糖は、傷の治りが低下するので注意が必要です。また、手術後のインプラントの治癒不全にもなるといわれています。インプラント手術の前に、血糖値を安定させるようにしましょう。
金属アレルギーでインプラント治療はできますか?
インプラントの素材は、チタン合金を用いた物がほとんどです。金属製アクセサリーなどによる皮膚炎は、口腔内では歯科用金属材料によるアレルギー反応が出ます。
金属アレルギーが疑われる場合は、インプラント治療開始前にパッチテスト、リンパ球刺激試験を行う必要があります。一般的な歯科医院では、そこまでの検査をしていない場合が多いので、大学病院などでの金属アレルギー検査が必要となります。
また、当院ではまだ取り扱いがありませんが、金属アレルギーの患者さまに朗報です。金属未使用のジルコニア素材のインプラントも発売されたそうです。
1番奥の歯を抜いてそのままにするとどうなる?
下の1番奥の歯を抜いてそのまま放置すると上の1番奥の歯が下に伸びてきて、下の歯肉とかみ合わさるようになります。
また、下に伸びてきた上の奥歯が、かみ合わせの邪魔をするようになり顎関節症を引き起こすことがあります。
上の1番奥の歯を抜いてそのまま放置すると下の1番奥の歯が上に伸びてきて、上の歯肉とかみ合わさるようになります。
また、上に伸びてきた下の奥歯が、かみ合わせの邪魔をするようになり顎関節症を引き起こすことがあります。
いずれも歯を失ってそのまま放置をするとその後の治療が非常に難しくなります。例えば、元あった歯の位置に戻すには、矯正治療が必要になり時間もお金もかかります。
そうなってしまう前に、歯科医院で相談することをおすすめします。
歯を抜いたら直ぐにインプラント治療を受けた方が良い?
歯を抜いた原因により、直ぐにインプラントを埋入した方が良いのか、待ってからの方が良いのかが変わります。
歯を抜く際に膿が溜まっている状態では、抜いて直ぐではなく、1ヶ月くらいの期間をあけた方が良いです。なぜならインプラントが感染してしまう可能性があるからです。
歯が折れた、割れた、欠けた、虫歯、歯周病で抜歯することになり、膿が貯まっていない場合は、抜歯と同時にインプラント手術を受けることが可能です。
歯科医師の考え方や経験値にもよりますので、良く相談しましょう。
歯の抜歯とインプラント手術、どちらが痛い?
痛みや腫れ具合を親知らずの抜歯とインプラント手術とで比較される患者さまがいます。横に生えている親知らず抜歯とインプラント手術では、同じように骨を削ったり歯肉を切開したりするため、基本的には同じくらいの痛みや腫れ具合です。
真横の親知らずを抜いて腫れた経験のある患者さまが多いために、インプラント手術と比較される方が多いのではないかと思います。通常は、しっかりと浸潤麻酔をかけてから親知らずやインプラント手術をしますので、術中に痛みを感じることは少ないです。
インプラント手術で強い痛みや大きく腫れる可能性が高いのは、骨を造成した場合で、どのようなインプラント手術を受けるかによっても変わります。想定される痛みや腫れ具合については、担当歯科医師に確認しましょう
インプラント手術後、痛みのピークはいつ?
インプラント手術後の腫れや痛みのピークは、48時間後といわれています。
日本口腔インプラント学会「口腔インプラント治療指針2024」に『インプラント手術で生じる疼痛は、一般的には術後に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの鎮痛薬を投与することで管理が可能であり、数日から1週間で落ち着くことがほとんどである。しかし、さまざまな原因により強い疼痛が継続することがある。』と記載があります。
通常は、数日から1週間を超えて持続する痛みがある際は、何かしら他の問題がある場合が考えられるので、歯科医院に連絡しましょう。
(引用元:『口腔インプラント治療指針2024』 公益社団法人日本口腔インプラント学会 理事長 細川隆司 著/編集協力:医歯薬出版株式会社/2024年6月15日 第4版第1刷発行)
インプラント手術後、いつから運動しても良い?
特に普段から運動をされている方は、インプラント手術後もできるだけ早く体を動かしたいと思われる方も多いと思います。インプラント手術後の運動は、腫れや痛みがないことが条件となります。
そのため、腫れや痛みが落ち着いてくる4〜7日後以降に運動開始となります。基本的に腫れがあるときに運動すると血流が良くなり、もっと腫れたり出血したりする原因となりますので、控えましょう。
インプラント手術後の食事について
おすすめの食べ物
インプラント手術後の食事メニューは、栄養満点で、刺激がなく、柔らかい食べ物が望ましいです。以下に候補を挙げますので、参考にしてください。
- マグロ丼
- キツネうどん
- 牛丼
私のおすすめは、なんと言ってもマグロです!マグロの中でも赤身が1番栄養分も高くおすすめです。
マグロ丼は、硬さもですが刺身なので柔らかいです。どんな手術でもマグロは、私が考える第一選択の食べ物ではないかと思います。
しかし、マグロ丼を食べる時にワサビたっぷり、醤油だくだくは、やめましょう。刺激が強すぎます。
次のおすすめは、キツネうどんです。キツネうどんは、2日目におすすめしています。インプラント手術当日は、そこまで腫れませんが、2日目は腫れてきますので、うどんなどの柔らかく食べやすい麺類が良いです。
3番目はこれまた丼物になりますが、牛丼です。牛丼は玉ねぎや好きな方は卵も入れますので、栄養たっぷりで汁のおかげでお米も柔らかくなり、食べやすいメニューになります。
やはり丼ものや麺類がインプラント手術後は、食べやすく栄養も豊富なためおすすめです。
食べてはいけない物
インプラント手術後に食べて欲しくない物は、以下になります。
- 硬い物
フランスパン、ナッツ、おかき、せんべい、するめ、ポテトチップス
- 刺激物
ワサビ、カラシ、カレー、辛い料理
- 熱い物
味噌汁、カップ麺、鍋、雑炊
インプラント手術後の傷口に刺激を与えるような物は、避けた方が良いです。最低でも傷口を縫っている糸を取るまでは、できるだけ常温に近く、柔らかく刺激のない食べ物を中心に食事することを心がけましょう。
また、インプラント手術後に麻酔が覚めない状態での飲食は、唇や頬をかんだりしますので、十分に注意してください。
通常食は、いつから食べられる?
基本的にインプラント手術後から食事を摂ることは可能ですが、硬い物・辛い物・刺激物・熱い物を食べることは、傷口を縫った糸をとるまでは避けたほうが良いです。
通常、インプラント手術後に下あごは2~3ヶ月後・上あごは4~6ヶ月後、骨を造成した場合は約6ヶ月後に仮歯や本歯の治療を開始します。そのため、きちんとかめるようになるまでに3~6ヶ月程時間がかかります。
細かいことですが、インプラントの歯が天然の歯と同じようにかめる訳ではありません。患者さまの中には、天然の歯のようにはかめないとおっしゃる方がいます。その通りで、インプラントの歯には天然の歯のような歯根膜といわれる感覚を司どる組織がないため、天然の歯に限りなく近いですが、全く同じではないことをご理解ください。
インプラント治療は、高額療養費制度の支給対象になる?
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
引用元:厚生労働省保健局 高額療養費制度を利用される皆さまへ
毎月の上限額は、加入者の年齢(70歳以上か否か)や 所得水準により異なります。
インプラントは、一般的に保険外診療(自費診療)のため、多くの場合は対象外です。ただし、事故や先天性疾患などで保険診療としてインプラント治療を受けた場合は、制度支給対象となります。
高額療養費制度と誤解されやすいこととして医療費控除があります。これは保険外診療(自費診療)のインプラント治療でも対象となります。
インプラント医療費控除に関して、詳しく知りたい方はこちらまで
インプラント治療の医療費控除