痛くないシリコン入れ歯の秘密 | 渋谷歯科 | 平日夜7時半・土日も診療の渋谷の歯医者

痛くない
シリコン入れ歯の秘密

実は、私、シリコン入れ歯作製に関して反対していました。シリコンの入れ歯なんて、ぐにゃぐにゃしてかめない。「シリコンの入れ歯を製作したが、かめない!」と入れ歯相談でよく質問を受けていたため、シリコン入れ歯を作ることは絶対にしないと思っていました。
ですがあることをきっかけにシリコン入れ歯にチャレンジすることになり、シリコンでも痛くない入れ歯を製作することができたのでご紹介します。

目次

痛くてかめない
シリコン入れ歯

「先生!他の歯科医院でシリコン入れ歯を作製したんだけど、痛くてかめないんだけどなんとか調整してくれないですか?」こんな相談をよく受けます。

この患者さまは、上あごは金属で入れ歯を製作して、下あごにシリコンを敷いた入れ歯を作製しています。一見したところ非常にかめそうな入れ歯ですが、患者さまは痛くてかめないとおっしゃいます。
私は、あまりにもこのような相談が多いので、シリコン入れ歯を毛嫌いしていました。シリコンで作った入れ歯は、かめないな!というイメージを無意識の中で感じていました。しかし、本気でシリコン入れ歯を作ったことがないのも事実でした。

なぜシリコン入れ歯は、痛くてかめないのでしょうか?
ここに関して、色々と考えてみました。

  • かみ合わせの高さが合っていない?
  • かみ合わせが安定していない?
  • 粘膜が薄すぎる。
  • 顎関節に問題がある。

などなどシリコン入れ歯を作製する際に、乗り越えなければならない壁があります。
この壁を乗り越えたのちのシリコン入れ歯なら上手くいくのではと考えるようになりました。

シリコン義歯(入れ歯)

痛くない
シリコン入れ歯の秘密

シリコン入れ歯を作るきっかけとなった患者さまは既に上記に書いたように、初めはシリコン入れ歯を毛嫌いしていましたし、シリコン入れ歯でかむのは難しいだろうと思っていました。

保険ではなく、自費で上下総入れ歯を作製した患者さまがいました。
製作した入れ歯は、それなりにかめたので患者さまから非常に高評価を頂きました。

ある日、入れ歯のメインテナンスでいらした患者さまから、先生にお願いがあると言われました。

「何ですか?」とお伺いしたところ、
「実は、シリコンを下の入れ歯に敷いて欲しいんだ。先生がシリコンの入れ歯を嫌いなのは良く分かっている。でも、自分80歳になったから最後の仕事で、シリコン入れ歯を作って欲しいんだよ。上あごの入れ歯は、ピシッとして何ら問題ないから、下あごの入れ歯だけシリコンを敷いて欲しいだ。」

とのことでした。非常にお世話になっている患者さまですし、断るに断れないということで一念発起で、シリコンの入れ歯を作ることにしました。しかし、患者さまには前もって痛くてかめなかったら今の入れ歯を使用してくださいね!それでも費用は、かかりますよ!とお伝えして了解をえてから治療を開始しました。

では、どうやって今まで毛嫌いしていたシリコン入れ歯を作ったかというと実は痛くないシリコン入れ歯を作るには、今までにない技術である、IOSという光学印象を用いた方法を取り入れて行いました。
痛くないシリコン入れ歯の秘密は、IOSという新しい技術を用いることで対応ができるのでは、と考えた結果でした。それまでの技術ですとなかなかシリコン入れ歯を上手く作ることは、困難でした。
しかしここで勘違いしてはいけません。普通にシリコン入れ歯を作製しても痛くないシリコン入れ歯は、できません!断言します!普通にただシリコン入れ歯を作製しても痛くないシリコン入れ歯は、作れません。
ここを勘違いしている方が非常に多いです。

費用

シリコン入れ歯(片顎) 500,000円
部分入れ歯 100,000円~500,000円

※2024年06月時点
※詳しくは直接当医院へお問合せください。

痛くないシリコン入れ歯の作り方・流れ

①口腔内診査

この患者さまのお口の中の特徴になります。
男性の割に小柄な事もあり、お口の中も結構小さいです。
入れ歯も小さく作製する必要があるので、入れ歯が安定する面積が小さいです。
となると入れ歯が安定しないので、入れ歯で痛みが出やすいです。
ただでさえ入れ歯が小さくて安定しないうえ、シリコン入れ歯を作って欲しいという難症例になります。

②単純な型どり

簡単な型どりを行います。

③精密な型どり

トレーを作製して、シリコンで精密な型どりを行います。

④かみ合わせ採得

かみ合わせの高さを決めます。

⑤人工歯排列試適

必ず顎の位置と歯の大きさや形をチェックします。

多くの場合、私は、この治療を2回行います。
つまりダブルチェックを行います。
以前の大先生のように入れ歯名人なら1回で上手くいくかもしれませんが、私はまだその域には達していません。

⑥入れ歯完成・調整

入れ歯が完成したら必ず調整を繰り返します。
かみ合わせや痛い部分の調整を必ず行います。

通常は1日後・7日後・14日後・1ヶ月後と繰り返します。

⑦かみ合わせ調整

このかみ合わせの調整がうまくいっていない段階で、シリコン入れ歯へ移っていくと上手くいきません。

必ずかみ合わせが安定するまで調整を繰り返します。

⑧IOSで光学印象採得

現在の入れ歯のかみ合わせが安定している事を確認してから、最終的なシリコン入れ歯の作製に入ります。

今回は、下の義歯にシリコンを敷きます。

IOSで撮影したデータをもとに作製したデータ

⑨3Dプリンター作製入れ歯

IOS光学印象を行ったデータで、現在の入れ歯のコピーを作製してもらいます。
下が今の入れ歯で、上がコピーをもとに3Dプリンターで作製した義歯です。
非常に似ていることがわかります。

現在のデジタル入れ歯の手法は、IOSデータだけでは、まだ精度に不安があるために、この後に最終印象の工程が加わります。

⑩シリコン入れ歯最終印象

出来上がってきた3Dプリンター入れ歯の試し採りを何度か行い、最終的な型を採ります。
ここまで精密に治療を行うと非常に精度の良い入れ歯が出来上がってきます。
逆に言えばここまでしないとシリコン入れ歯は、上手くいきません。

⑪シリコン入れ歯完成

上あごは、今回は何もしていないのでそのままです。
下にシリコンを敷いたデジタル入れ歯が3Dプリンターで作製され完成となっています。

写真を見ると下あごの入れ歯は下のピンクの部分がシリコンだとお分かりいただけるかと思います。

⑫シリコン入れ歯調整

シリコン入れ歯がなぜ?痛いのかというと入れ歯のかみ合わせが安定していないからと前半で申し上げたと思います。

なぜIOSを用いてデジタル入れ歯を3Dプリンターで完成させたかというと初めに作った入れ歯のかみ合わせをそのまま再現することができるからです。

まとめ

痛くないシリコン入れ歯に関して、説明を行いました。
ここまで精密な治療を段階を踏みながら一歩一歩行うので、かみ合わせが安定しにくいシリコン入れ歯でも痛くなくかませることができます。そのため通常のシリコン入れ歯を作る手法ですと残念ですが上手くいかないことが多いです。

また、新しいIOSという手法を取り入れる事も重要です。
これにより初めに作製した入れ歯を精密にコピーして再現することができます。
精密な入れ歯を作製してからシリコンを敷くのがポイントになります。
そのため世間一般の方が、シリコンを敷けば入れ歯が痛くなくなると思っている事は間違っています。
ここまでやらないとシリコンの入れ歯は痛くなくかめないので、お間違えなく!

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